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寝たきりにさせないために、まず「座る」ことがリハビリの第一歩になります。
ただし、座るリハビリを行わない方が良い場合があります。
★座位(座った状態)を行わない方がいい場合
1 安静時の脈拍数が120/分以上の場合
2 拡張期血圧が120mmHg以上の場合
3 収縮期血圧が200mmHg以上の場合
★座位(座った状態)を途中で中止する場合
1 起立性低血圧が出現した場合
2 毎分10回以上の不整脈が出現した場合
座ることのリハビリはゆっくりと時間をかけて行っていきます。
座ることができるようになれば、
・寝たきりを防止できる
・床ずれ(褥瘡)の予防、改善ができる
・体のバランスが改善されて立つ、歩くリハビリにつながる
・便秘の改善ができる
といった様々なことが改善されます。
座ることで世界が広がり、人生が楽しくなることでしょう。
一般的に介助者は介助を受ける患者様がバランスを崩しやすく不安定になりやすい「麻痺側の方向」に立つようにします。
介助者は患者様の麻痺側の後ろに立ち、万が一の場合には介助者の体で静止したり、引き寄せたりして転倒を防ぐようにします。
・上るときの介助のポイント
先に上げた足(前方)に体を傾けるようにして体重を移動させながら膝を伸ばすように促すようにしましょう。
また、麻痺側の足が段差に引っかかりそうならば、脇に手を添えて軽く体を引き上げるようにして介助をしましょう。
・下るときの介助のポイント
介助を受ける患者様が腰を後ろに引かないように麻痺側の足を下ろすのを介助します。
腰の引きが強い場合は、介助者の体で壁をつくったり、軽く腰を押し出すようにして、足の振り出しを助けるようにします。
※このときバランスを崩さないように脇に手を添えたり体の前面を支えるようにしましょう。
麻痺側の足が振り出せない場合や足が内側に入ってしまって不安定になる人もみえます。
その場合は、麻痺のない方の足から下ろすようにしましょう。
※このとき両膝を軽く曲げて支えてから振り出すと安定します。
下りは介助を受ける患者様の能力に合わせて先に出す足を選ぶことが大切です。
昇降は、支えすぎずなるべく患者様の力で行ってもらうことと、介助を受ける患者様が動けなくなって困っているタイミングに合わせて援助を行うようにすることがとても大切です。
よく「膝に水がたまっているからわるい」、「膝に水がたまっていないからよい」と思われている方がお見えですが、医学的には「よい・わるい」というわけではなく、「膝に水かたまる」というのは、あくまでも膝に炎症があるために起こっている一症状にすぎません。
そもそも、膝の水ってなんなんでしょうか。
「膝の水」と言われているのは、骨と骨をスムーズに動かすための役割をしている「関節液」というもののことをいいます。
この関節液自体が痛みの原因にはなりませんが、量が多くなってくると、関節が張って動かしにくくなります。
そのようになったときは膝の水を抜くことがあります。
「一度膝の水を抜くとクセになる」と信じて見える方もお見えですが、そんなことはありませんので安心してください。
まず水がたまるのは膝に炎症が起きているからなのです。
たとえば、
「あなたが風邪を引き、鼻に炎症が起きて鼻水が出たとします。
あなたは、鼻水がでてきたので鼻をかみましたが、鼻水はどんどんでてきました。」
このとき、鼻水をかんだから新しい鼻水がでてきたわけではないですよね?
風邪が治れば、鼻水も治まります。
ようするに「鼻の炎症→膝の炎症 鼻水→膝の水 鼻をかむ→水を抜く」ということです。
なので、膝の水を抜いたからといってクセになることはないんです。
リハビリ
リハビリの中止の基準 2
痛みには様々なものがありますよね。
例えば、ひざの痛み、腰痛、関節痛や神経由来の痛み、うつ状態などの心の痛みなどたくさんの種類の痛みがあります。また、それらは単体ではなく複数が同時に存在しています。そんな患者様に「今日は痛い」といわれたとき、以下のことからリハビリを行うべきか中止するべきかを決めています。
1 患者様ご自身やご家族の方からよく話を聞く。「問診」
・どこが痛むのか?
・どのように痛むのか?
・いつもとどのように違うのか?
・思い当たることはないか?
などをよく聞くようにします。いわゆる「問診」をします。
2 痛がる所をチェックする。「触診」
痛みが出たところを触ってみて、
・腫れているか?
・熱感があるか?
・触ったり軽く叩くと痛みがでるか?
などをチェックします。いわゆる「触診」をします。
以上のことを行い、痛みの原因を判断します。
痛みが急性期のものと判断した場合は、その日のリハビリを中止し、治療を考える必要があります。
また慢性痛が一時的に強くなったものと判断した場合は、患者様本人やご家族と相談をしてリハビリを行うか中止するかを決定しています。
リハビリ
リハビリの中止の基準 バイタルサイン<<血圧>>
リハビリテーション中止の基準として、アンダーソンの基準の土肥変法やアメリカスポーツ医学協会の参加基準といった資料を参考にしています。また、患者様一人一人の状態も考慮しつつ、総合的に考えてリハビリテーションを継続・中止するかを判断します。
1 積極的な訓練を行わない方がよい場合
①安静時の脈拍数が120回/分以上の場合
②安静時の収縮期血圧が200mmHg以上の場合
③安静時の拡張期血圧が120mmHg以上の場合
④現在、労作性狭心症の方
⑤心筋梗塞発症直後(1ヵ月以内)の方
⑥心房細動以外の著しい不整脈がある場合
⑦訓練実施前にすでに動悸、息切れ、胸痛のある場合
2 運動の途中で訓練を中止する場合
①運動時の脈拍数が140回/分以上になった場合
②運動時の収縮期血圧が40mmHg以上上昇した場合
③運動時の拡張期血圧が20mmHg以上上昇した場合
④運動によって10回/分以上の不整脈が出現した場合
⑤中等度以上の呼吸困難、めまい、吐き気、狭心痛を生じた場合
3 いったん途中で訓練を中止して、回復後に再開する場合
①脈拍数が運動前の30%を超えた場合
※ただし、2分間の安静をとり、10%以下に戻らない場合は、以後のリハビリを中止するか、また、きわめて軽労作のものに切り替える
②脈拍数が120回/分以上になった場合
③10回/分以上の不整脈が出現した場合
④軽い動悸、息切れなどの症状を訴えた場合
4 その他に注意すること
①下肢の浮腫が増加している時
②食欲不振や空腹などの時
③倦怠感がある時
④体重が増加している時
⑤血尿が出現した時
適度な運動は高血圧を軽減する効果がありますが、重度の高血圧に対する運動は控えた方がいいでしょう。
最終的には、主治医の先生と相談してリハビリテーションの継続・中止を決定します。
段差の昇降動作の仕方を紹介します。
※ここでは、片麻痺や膝に痛みがある高齢者の方などの1本杖で歩ける人を対象として考えます。
まず、上るときなのですが、麻痺のない方の足から振り出して、次に麻痺のある方の足をそろえるように2歩で1段を上るようにします。
※杖は基本的に麻痺側の足と一緒に出すようにします。
次に下るときでは、この逆を行い、麻痺のある方の足と杖を出して、その後に麻痺のない方の足をそろえるように出し段を降ります。
なぜこのようにするかというと、上るときは麻痺のない方の足の脚力を利用して体を引き上げ、下りでは麻痺のない方の脚力で体を吊り下げるようにブレーキをかけながら下りるためです。
※これは一般的な方法であり、人によっては下りで麻痺のない方の足から出したほうが安定するといったケースもあります。
リハビリ
★リハビリテーションとは
みなさん、リハビリテーションという言葉を一度は耳にしたことがあると思います。
では、リハビリテーションとはどういったものをいうのでしょうか。
リハビリテーションは広い意味をもつ言葉で、復興、復職、復位、名誉回復、社会復帰などの様々な意味があります。
リハビリテーションという用語の意味を一言でいえば「人間らしく生きるための権利の復活」」ということです。
古くは名誉回復、更正という意味で用いられたそうです。
一般的に「リハビリ」と略して呼ばれるようなものは、外傷や疾病によって身体的・精神的に障害をもった人々の機能障害や環境面での制約に対応して、残された能力を最大限に回復させ、積極的な生活への復帰を目的に行われる一連の働きかけのことを指します。
しかし、それはリハビリテーションのもっている広い概念のほんの一部にしかすぎません。
訓練で機能を回復させることだけがリハビリテーションではないのです。
身体や精神だけではなく社会と生活の視点で、より質の高い生き方が送れるようにすることがリハビリテーションの目的といえます。
リハビリ
多系統萎縮症(MSA)
★多系統萎縮症とは
多系統萎縮症とは、オリーブ橋小脳萎縮症、線条体黒質変性症、シャイドレーガー症候群という3つの病名を総称したものをいいます。これらの病気は前景に立つ症状がことなるため、以前は、小脳・自律神経・錐体外路と障害部位によって別々の診断名がついていました。現在は、脳の病理変化が共通していることから、まとめて多系統萎縮症と呼ばれています。原因は不明で、特異的な治療法も確立されていないため、対症療法が行われます。
★症状
障害部位によって小脳症状、自律神経症状、錐体外路症状が現れます。
小脳症状としては、運動失調、失調性歩行(歩行障害)、言語障害などがあり、自律神経症状としては、起立性低血圧、排尿障害、便秘、インポテンツなどがあります。
錐体外路症状としては、パーキンソニズム(振戦、筋固縮、寡動・無動、姿勢反射障害を呈する特有の運動障害)、深部腱反射亢進、バビンスキー反射(足底に見られる正常時には現れない病的反射のこと)出現などがあります。
★リハビリ
多系統萎縮症に対してのリハビリテーションは重要です。運動失調や歩行障害に対しては歩行訓練、運動療法を行います。筋固縮に対してのマッサージ、鍼灸治療、筋力低下・転倒・けが予防に対して筋肉トレーニングなどで手足の筋肉を鍛えます。多系統萎縮症に対してのリハビリテーションは進行を抑えることを目的に行います。
リハビリ
進行性核上性麻痺
★進行性核上性麻痺とは
進行性核上性麻痺とは、中年以降に発症し、核上性眼球運動障害(眼の動きが制限されること)とパーキンソニズム(振戦、筋固縮、寡動・無動、姿勢反射障害を呈する特有の運動障害のこと)を特徴とする進行性の神経変性疾患のことをいいます。男性に多く、発症年齢は50~60歳代です。
★症状
進行性核上性麻痺の初発症状は、歩行障害が最も多く、認知症(痴呆)、核上性眼球運動障害(下方の注視障害)が認められます。また、頸部の伸展傾向を伴う体幹の筋固縮、構音障害や嚥下障害なども認められます。立っていると後方に転倒する傾向があります。症状が進行すると動作が緩慢になり、筋・関節が固くなって最終的に寝たきりになります。寝たきりとなると、沈下性肺炎で死亡することもあります。
★リハビリ
進行性核上性麻痺に対してリハビリテーションは必要です。リハビリは運動療法を中心に行います。歩行障害や運動障害に対して歩行訓練、姿勢の矯正、方向転換の訓練を行い、症状緩和、手足の拘縮の予防を目的としたマッサージ・鍼灸治療などを行います。リハビリは症状を緩和し、ADL(※ADLとは、日常生活動作の略で、起居、移動、食事、更衣、整容、トイレの各動作およびコミュニケーションから成る日常生活に最小限必要と考えられる動作のこと)を可能な限り良好に維持するために行います。
早期からのリハビリテーションの介入が回復を促進することが科学的に証明されています。
リハビリ
ウィルソン病
★ウィルソン病とは
ウィルソン病とは、銅の代謝異常によって起こる先天性の疾患のことをいい、基底核を中心とする特異な神経症状と肝硬変を伴う病気です。銅の膜輸送を担うたんぱくの先天的異常によって、体内の各組織で銅が異常に蓄積し、組織が破壊されます。最も影響を受けるのは肝臓で、肝細胞の壊死と線維化を生じ、大脳基底核への蓄積により特異な神経症状を呈します。すべての年齢で発症はみられますが、特に10~20歳と50~60歳に発症する傾向が高いです。
★症状
ウィルソン病の症状としては、70%が神経症状を初発とします。構音障害、振戦、筋緊張亢進、運動失調などの錐体外路徴候、学力低下、感情の不安定、うつ状態、無気力、性格の変化などの精神症状などをきたします。また、腹痛、下痢、黄疸、肝臓・脾臓の腫大などの腹部症状、銅の沈着によって角膜周辺部にカイザーフライシャー角膜輪といわれる緑色の色素沈着を認めます。
★リハビリ
ウィルソン病に対するリハビリテーションは大切です。早期に治療・リハビリを開始することで予後は良好で、日常生活も社会生活も問題なく過ごすことが可能になります。運動失調・歩行障害に対して運動療法や歩行訓練、筋肉の緊張や筋萎縮の緩和を目的としたマッサージや鍼灸治療を行います。
早期からのリハビリテーションの介入が回復を促進することが科学的に証明されています。